ヒートショックが起こりにくい家
毎年、寒い時期になるとメディアで取り上げられる『ヒートショック』。
なぜ、これほどまでにヒートショックが話題となるのか?
それは命に関わるからです。
ヒートショックとは、室内の移動(温かい場所から寒い場所へ)など急な温度変化で血圧が上下して、「心筋梗塞」や「脳梗塞」、「不整脈」などを引き起こすこと。
東京都健康長寿医療センターのデータによると、交通事故で亡くなるより、ヒートショックで亡くなる方が3.7倍も多いということです。
ヒートショックが起こりにくい家
2011年のデータになるのですが、4,600人が交通事故で亡くなり、17,000人がヒートショックで亡くなっています。
- 交通事故 ……4,600人
- ヒートショック……17,000人
ヒートショックで亡くなるケースは、交通事故の3.7倍。
高齢者によく起こる現象かと思われがちですが、実はそうでもないのです。
17,000人のうち、「3,000人」は高齢者以外になります。
ヒートショックの原因は家づくりにあり!?
ここで考えてみたいのは、「室内の移動(温かい場所から寒い場所へ)など急な温度変化」が原因となっているということは、家づくりにも問題があると言えるのではないかということです。
家中の温度差が小さければ(どこにいても温度が変わらない家になれば)、ヒートショックは起きにくくなると言えます。
今でこそ、高気密高断熱住宅が主流になりました。
ですが、家中の温度差を小さくする技術は今に始まったことなのでしょうか。
「ヒートショックを防ぐため、屋内外の移動だけでなく、リビングから廊下やトイレに移動する際にも上着を着るなどして温度調整を図ることを勧めたい」
と指摘する専門家がいます。
気になるのが、「リビングから廊下やトイレに移動する際にも上着を着るなどして温度調整を図る」というところ。
高気密高断熱住宅であれば、部屋中がほぼ一定の温度になるので、室内でのヒートショックは起こりにくくなるはずです。
リビングから移動するときに上着も必要ありません。
そもそも家の中を移動するだけなのに、わざわざ上着を着るなんて煩わし過ぎます。
それより、断熱をおざなりにした昔の住宅ならまだしも、現代において室内でのヒートショックが問題視されていることを残念に思うのです。
ヒートショックが命に関わる問題であるならば、国策として断熱強化を図るべきではないでしょうか。
イギリスでは、冬場の室温が「18℃以下に下がる家を建ててはいけない」という法律があると言われています。
交通事故死より多く発生するヒートショックですから、それぐらい思い切った政策があってもいいのではないかと思います。
住宅性能を表す数値を見極める
住宅性能を表す『UA値』という数値があります。
UA値とは、外皮平均熱貫流率のこと。
【参考】住宅における外皮性能 国土交通省
UA値の値が小さければ小さいほど、住宅の保温性能が高く、熱が逃げにくく、断熱性に優れています。
ハイアス・アンド・カンパニー株式会社の柿内 和徳氏と川瀬 太志氏による『トクする家づくり 損する家づくり』において、UA値が「0.56以下」を妥当と評価しています。
新築する際に、住宅会社で「平均UA値はいくつですか?」と聞くのも有効です。
ヒートショック対策
最後に、一般的なヒートショック対策を挙げておきます。
- 入浴前に浴室と脱衣室の室内を暖める
- お湯の温度は41度以下、入浴時間は10分以内
- 浴槽から出る際はゆっくりと立ち上がる
【まとめ】住宅性能を表す数値を見極め、温度調整を図る
原因を追及したところで、浴室・脱衣室が寒い家を温かい家に建て替える(リフォームする)のは大変なことです。
できる範囲で対策していくよりほかはありません。
命を守る家づくりが進むことを願うばかりです。
以上、ヒートショックと家づくりについてでした。
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