【知らないと後悔し続ける】『この本を読んでから建てよう』

家づくり 工法

“家を建てる前に読む本”などと称されて、新築する前におさえておくべきポイントを網羅した本はいくつかありますが、今回ご紹介する本は【断熱材】に焦点を絞った内容となっています。

著者が「断熱屋」ということもあり、具体的な数値とともに優れた工法を提案しています。

「大手メーカーよ、少しは反省しろ!」と刺激的な言葉を裏表紙に書かれていますが、なぜ大手メーカーが反省しなければならないのでしょうか?

住宅購入という一生の買い物で後悔しないための方法を考えていきたいと思います。

【知らないと後悔し続ける】『この本を読んでから建てよう』

【知らないと後悔し続ける】『この本を読んでから建てよう』
参考:山本順三(2003)『最新版 この本を読んでから建てよう―「断熱」「防音」「結露」、現場からの真実』、成甲書房

※ 本ブログでは「ダイジェスト版」をもとにご紹介していますが、現在取り扱われていない書籍のようです。

「大手メーカーの欠陥住宅」という見出しが目をひきます。何をもって欠陥住宅というのか。

日本の木造住宅の寿命=27年

木造住宅の寿命は、「イギリス81年、アメリカ67年、日本26年――」といわれるように、各国によって大きく異なっています。それは仕方がないことなのでしょうか?

国交省の統計データにおいても、日本の木造住宅の寿命は【27年】と公表されています。

国土交通省

結論からいいますと、日本の木造住宅の寿命が短い原因は、『住宅性能の欠如』から来ているということです。「欠如というより無知から来ている」のだと。そして、現代日本住宅が低性能になってしまうのは、【結露】に対する知識が不足しているからだという。

建築界というところは不勉強な世界

建築家が無知であることで、「建築界というところは不勉強な世界」だと言い放つ著者。そもそも日本の社会人の平均勉強時間が「6分」だといわれています。日本の大人は勉強しないという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

建築界に限らず、日本の社会人は世界の社会人と比べて、学習や自己啓発の時間が短い傾向にあると総務省が明らかにしています。

社会人の平均勉強時間は6分

平成28年社会生活基本調査

無知なまま住宅をつくった結果、新築時の価格がアメリカの2倍もするのに、できあがった豪邸は「住宅」ではなく『獣宅』になっていると著者は表現しています。

日本の住宅のどんなところが『獣宅』なのか?

交通事故よりも火災よりも、室内で亡くなる確率が高い

2000年当時、日本の交通事故による死者数が「12,857人」、自殺者が「30,251人」。

火災による死者数が「2,000人」、風呂場での死者数が「14,000人」、トイレでの死者数が「30,000人」…。

交通事故(12,857人)よりも火災(2,000人)よりも、室内で亡くなる(風呂場とトイレだけで44,000人)確率が高いということになります。この事実から、日本の住宅は『獣宅』と化していて、「住宅性能の欠如」が室内で命を落とす現象を引き起こしていると著者は述べています。

本書では触れられていませんが、室内で死因の一つに、『ヒートショック』が挙げられるのではないかと思います。

『ヒートショック』とは、急激な温度の変化で身体がダメージを受けること。浴室とトイレは家の北側にあることが多く、冬場の入浴では、暖かい居間から寒い風呂場へ移動するため、熱を奪われまいとして血管が縮み、血圧が上がります。お湯につかると血管が広がって急に血圧が下がり、血圧が何回も変動することになります。

日本医師会

現代日本住宅が低性能になってしまうのは、【結露】に対する知識が不足しているからだと記しましたが、みなさんは結露の正体をご存知ですか?

建築家ではない私たちが結露のことを知らないならまだしも、「日本建築界は、結露の正体を知らない」と著者は指摘しています。本書で結露について端的に触れられていましたので、載せておきます。

結露の3原則―山本順三式

  1. 水蒸気の大きさは10万分の4ミリである。
  2. 温度と湿度は高きから低きに流れ、その反対はない。
  3. 水蒸気には温度によって飽和量がある。

つまり、「室内の水蒸気を抵抗なく躯体内を通過させれば結露は発生しない」ということになります。結露しなければ、家が早く腐ることもなくなるということです。

ところが、現代日本住宅は、結露を生み出す家づくりをしてしまっていると…。

結露は現代の建築屋が作り出した無知の結晶とも言える現象

断熱材が登場した昭和34年から、ビニールやガラスで水蒸気を通せんぼという意地悪をしたから、結露という仕返しをされたという。

故に、「結露は建築屋が作り出したものだ」と。

では、結露しないためには、どんな工法で家を建てればよいのか?

ナンバーワン断熱材=セルローズファイバー

著者はアメリカで35%のトップシェアを誇る天然の木質繊維である【セルローズファイバー】を断熱材として施工することを薦めています。

セルローズファイバーとは、天然の木質繊維のことです。天然繊維であるセルローズファイバーは、無機繊維より優れているところがたくさんあります。その一つに自然が作った小さな空気の粒にあります。 太さが均一で、硬い針のような無機繊維に比べてセルローズファイバーは、様々な繊維が絡み合っています。この繊維の絡み合いが空気の層をつくることはもちろん、1本1本の繊維の中にも自然の空気胞が存在しているのです。この空気胞の存在がより一層熱や音を伝えにくくします。さらに木質繊維特有の吸放湿性で、適度な湿度を保ちます。

日本セルローズファイバー工業会

セルロースファイバーの特筆すべき点は、原料である新聞紙に『ホウ酸』を混ぜているということです。ホウ酸を形成する「ホウ素」は、ダイヤモンドに次いで堅く、ダイヤモンドに次いで融点が高いという特徴があります。ホウ素が弱酸性であるから、消毒性があるともいわれています。

以下に、本書で記されているセルローズファイバーの性能を簡単にまとめておきます。

【まとめ】セルローズファイバーの性能

  • 新聞紙は元来断熱性能を持っている
  • 空気の振動を阻止することで遮音性能&吸音性能が高い
  • 水を非常に短期間に吸水し、素早く排出するため、吸湿性能&放湿性能が高い
  • 焼けたとしても炭素となって酸素を遮るため、耐火性が高い
  • ホウ酸が防蟻剤になることで防虫効果がある
  • ホウ酸に接触する金属は通常金属の170倍もの防錆性がある
  • インクも無害であるため、安全性が高い

2000年当時、「セルローズファイバーを知らない工務店は今でも9割以上に及ぶ」と記されている。それは、「建築界というところは不勉強な世界」だからだと。

「自分の安全は自分で守るよう勉強するよりほかに方法がない」という著者の言葉にあるように、自分なりに情報収集をして、納得がいく工法を見つけることが欠かせないのだろうと思います。

以上、家づくりの参考になれば幸いです。

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