『住まいの解剖図鑑』で心地よい住宅を設計する

家づくり

「どうすれば住み心地のよい家づくりができるの?」

この記事は、そんな疑問をもつ方に向けて書いています。

住宅の解体新書、『住まいの解剖図鑑』という書籍をもとに考えてみたいと思います。

『住まいの解剖図鑑』は、私の近所の書店で目立つ所に平積みされていたので、住宅本の中では人気の書籍のようです。

『住まいの解剖図鑑』で心地よい住宅を設計する

『住まいの解剖図鑑』で心地よい住宅を設計する
増田奏(2009)『住まいの解剖図鑑』、エクスナレッジ

心地よい住宅を設計するために、本記事でご提案するのは4点です。

  • 階段こそ、プランニングの隠れた主役
  • ドアは壁に向かって開く
  • リビングルームの設計は、「いかに座るか」
  • キッチン機器は料理の手順に従って配列する

階段、ドア、リビング、キッチンの4つです。

階段こそ、プランニングの隠れた主役

マイホーム新築の経験を通して、私が最も共感しているのは「階段こそ、プランニングの隠れた主役」だということです。

階段は住宅の”ヘソ”であり、階段をどこに設置するかで住宅の住み心地や部屋の広さが大きく左右されるという著者の増田氏。

自分で間取りを描いてみると分かると思います。

私も素人なりに平面図を書いてみたことがあるのですが、階段の行き場に困ったのでした。。

階段を中心に間取りを考えないと、平面設計が成立しないと感じたのです。

そして、階段の登る方向を逆にしただけで、廊下が無駄に長くなり、部屋が狭くなったのでした。

だから階段と廊下はセット(グル)なのだと。

ちなみに、建築史上の名作住宅(シュレーダー邸やマーガレット・エシェリック邸など)に注目すると、階段は「平面の中心」に配置される例が多いそうです。

「階段は住宅の”ヘソ”」と覚えておきましょう。

ドアは壁に向かって開く

「このトイレ、入りくいな…」

と感じたことはありませんか?

それは、ドアの開き方に問題がある可能性大です。

例えば、外開きのドアの場合、入室するときにドアノブを自分の方に引っ張らなくてはいけなくなるため、なんだか面倒だと感じませんか?

開き戸は基本的に、「内開きが原則」です。

ドアは壁に向かって開くようにすると、スムーズな一連の動きになるだけでなく、半開きのままでもすべり込むことができます。

人間の動きに逆らった設計にすると、無意識のうちにストレスを感じてしまいます。

「ドアは人間の動きに素直に従わせる必要がある」という著者。

引戸は遮音の機能において難点があるということも覚えておきましょう。

リビングルームの設計は、「いかに座るか」

リビングルーム(居間)は、 ”Sitting Room” と言い換えられます。

リビングルームは、「座るための部屋」だということです。

リビングルームの語源は、英国庶民の生活風景に求められるそうです。

そこで、「どうすれば心地よく座れるか?」を考えることが設計のポイントになります。

おすすめしないレイアウトは、リビングルームを「シアタールーム」にしてしまうことです。

全員がテレビに注目するレイアウトになり、家族の会話が減ってしまいます。

それでもいいという方は別ですが、家族団らんが薄れるようで寂しく感じます。

テレビも見れるけど、家族の顔も庭も見えるような、3方向に目を向けられるレイアウトがおすすめです。

リビングは「座る部屋」と覚えておきましょう。

キッチン機器は料理の手順に従って配列する

手際よく料理するためには、キッチンが機能的であることが求められます。

料理の出来栄えは、料理する人の手際のよさに左右されるとも言われます。

反対に、手際よく料理ができない原因の1つに、キッチンの設計に問題があると考えられます。

あなたなら、「冷蔵庫・シンク・調理台(まな板置き場)・コンロ」の4つのキッチン機器を、どのように配置しますか?

著者によると、設計のプロでもキッチン機器の配列はあやしいそうです。

おすすめの配列は、「冷蔵庫→シンク→調理台→コンロ」です。

①冷蔵庫から食材を出す、②食材をシンクで洗う、③食材を切ったり刻んだりする、④食材を鍋に入れる、という順番にならっています。

ドアの開き方と同じように、人間の動きに素直に従わせる動線が心地よさにつながるといえます。

キッチンは、料理の手順を意識して設計しないと使いづらくなることを覚えておきましょう。

【まとめ】設計者と一緒に住宅をプランニングしよう!

本記事では、階段、ドア、リビング、キッチンの4点にしぼって設計のポイントをご説明しました。

心地よい住宅を設計する仕組みをもっと知りたい方は、ぜひ『住まいの解剖図鑑』をお読みください。


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